サルとダンゴムシのポーズ
※「ダンゴムシのポーズ」は主に幼稚園児や保育園児などの未就学児〜小学校低学年が対象です。
目的を明確に!
これから紹介するポーズは、地震が発生した時に「子どもの命を守る」という目的を達成するためのものです。
子どもに教える時は理解できるように簡素化する必要があるかもしれませんが、教える立場の方は、常に「子どもの命を守る」という目的を忘れず、ポーズを取ること自体が目的になってしまわないよう、注意してください。
どんなポーズを取ればいいか迷った時は「どうすれば子どもの命を守れるか?」という大原則に立ち返ってください。
地震発生時、子どもはどうする?
かつて学校の防災訓練は、ウーウーというサイレン音のあと「地震が発生しました。児童の皆さんは机の下に入りましょう」といった放送が流れて、子供たちはその指示をうけて机の下に入っていました。
これは形骸化した時代遅れの訓練の典型例です。もしかして、まだこのような訓練をやっているのではないでしょうか?
震度6以上の揺れでは大人であっても自分の意思で行動することができません。「机の下に!」と指示を出したり、身を呈して守ってあげたり、といったことはほぼ不可能です。
大きな揺れが起きた時は、子供は自ら判断して、瞬時に自分の生命を守らなければなりません。もちろん、棚やモノが倒れてきたり落ちてきたりしないような環境にすることは大前提です。
それでは、どうすれば子どもが自分の判断で命を守る行動を取れるようになるのでしょうか?
3つの「ない」を意識
これから紹介するポーズを取るときは、物が「落ちてこない」「倒れてこない」「移動してこない」場所に移動する必要があります。
当研究室には、身の回りにどんな危険が潜んでいるかを知り、できるだけ安全な場所を見つけるための教材もあります。「絶対に安全な場所」はなかなか作れないかもしれませんが、「大きな危険」と「小さな危険」を的確に見分けることで、比較的安全な場所を見つけることができます。
詳しくは「写真で危険さがし授業&地震ショート訓練の教材ページ」をご覧ください。
机がある時は?(サルのポーズ)
授業中など机がすぐそばにある時に強い揺れに襲われたら?
多くの方がご存知の通り、机の下に潜るのが正解です。ただ、いくつかの注意点があります。
注意点①:体全体が机の中に入らない時は、頭を最優先で守るようにします。
注意点②:机の下では、両ひざを床につけます。体育座りよりもひざを床につけたほうが体が安定します。
注意点③:机の脚のできるだけ上の方を持ちます。脚を持っていないと机が大きく動き、場合によっては飛び跳ねることもあるので非常に危険です。下の方を持つと、机が飛び跳ねた時に、机の脚と床の間に手が挟まりけがをするおそれがあります。また、脚が4本ある場合は、斜めに持つと安定感が増します。
このようなことを瞬時に理解できる年代が対象であれば、そのままお伝えいただき、未就学児や小学校低学年などで理解が難しい場合は「サルのポーズ」と教えるとイメージしやすくなります。
机の中でダンゴムシのポーズはいけません。揺れで机が倒れたり、移動してしまったりするでしょう。机があるときは「サルのポーズ」です。
机がない時は?(ダンゴムシのポーズ)
学校や保育施設などで行われる多くの訓練が、机があることを前提としていますが、すぐ側に机がない時にも大地震は発生する可能性があります。
掃除中、給食の配膳中、休み時間……
すぐ側に机がない時や、掃除中で机が1ヶ所に固まっている時など、全員が机の下に潜れない状況は多数存在します。
大人であれば、しゃがんで頭を守るという行動をすぐに取ることができるでしょう。しかし、小さな子どもは、しゃがむという動作がスムーズにできなかったり、自分で頭を守るという判断ができなかったりします。
この問題を解決するのが「ダンゴムシのポーズ」です。
ダンゴムシのポーズは、大きな危険にお尻を向け、ひじとひざ、足の甲を床につけます。そして、手で水をすくう形にして頭を守ります。
当然のことながら、耐震性のある建物内にいること、上から落ちてきたり,倒れてきたりしない環境であることを前提としています。
それぞれの現場に合わせた教え方を!
小学校のように、机が側にある時間が長い場合は、サルのポーズを優先的に教え、その後、ダンゴムシのポーズを教えるのがいいでしょう。
逆に保育施設などで、机が近くにない環境で過ごす時間が長い場合は、ダンゴムシのポーズを教えて、その後、サルのポーズを教えたほうが効果的です。
当研究室では、幼児〜小学生向けに、ダンスや紙芝居などを使って、命を守るポーズを教える「幼保施設向け教材」や「ダンス教材」を用意しています。詳しくはこちらからご覧ください!